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八幡製鉄所で「高炉の神様」と呼ばれ、溶鉱の職工として90歳を越えても働き続けた田中熊吉(1873-1972)の生涯について、製鉄所の創業当時のエピソードを中心に描いたノンフィクション。著者の佐木隆三は作家になる前、なんと八幡製鉄所の社内報編集担当だったそうで、社内報連載記事がこの本のベース。タイトルの「宿老」は八幡製鉄所にかつてあった、熟練工を遇するための定年なしの終身職階のこと。

近代製鉄において立ち遅れていた日本は、ドイツより技術者を招き、教えを乞うたものの、来日したすべてのドイツ人技術者が清廉潔白なわけでもなく、酒好きの素行不良で周囲から嫌われていた人間もいたと。しかしながら、技術を伝えるのに最も熱心な人間もその中にいたと。また、田中が後年、渡独して技術を盗んだときのエピソード、晩年はサービス精神旺盛でタフなエロじいさんとして親しまれていたことなどなど、興味深い内容満載でした。

参考:art randam 田中熊吉 
金子毅『八幡製鉄所・職工たちの社会誌』(草風館)…時代に応じて変容した「あるべき職工」としての田中熊吉のイメージについて。

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2006年09月24日 08:45に投稿されたエントリーのページです。

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