藤木良明『マンションにいつまで住めるのか』(平凡社新書)。マンションの寿命は何によって決まるのかが気になり、購入。マンションの劣化現象のバリエーションとその対策、マンション関連の法律などについてコンパクトにまとめられており、大変参考になりました。
がしかし、本書には事実と異なる箇所が。
「(同潤会)江戸川アパートには中庭を取り囲むようにして住棟が配されており、一階には社交室、食堂、共同浴場が設けられていた。これはまさに、ローマのインスラや円形土楼、そしてわが国の町屋にみる伝統的な集合居住のあり方を近代に引き継いだものといえる」
私は以前、取り壊し直前の江戸川アパートに住んでいましたが、一階にはそれらの共同設備はありませんでしたよ(地下や上の階にありました。ちなみに、共同設備が集中していた一号館の部屋に住んでいました)。いや「一階だろうが他の階だろうがどうでもいいのでは」と思われるかもですが、この本では、ローマのインスラも中国客家の円形土楼も江戸川アパートもその後のマンションも、一階に食堂や共同設備があった点が共通している、という主張をしているので、その主張のために、事実がねじ曲げられてしまうのはおかしいと思ったのです。
証拠:『散歩の達人』1997年3月号のp.5に江戸川アパートの共同浴場の写真が掲載されていますが、キャプションに「地下の共同浴場は住民のみの利用。」とあります。