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2007年07月 アーカイブ

2007年07月01日

フィールドワーク入門書三冊。

『実践的社会調査法』授業を聞いていてフィールドワーク手法について自力で詰めておいた方が良いと思い、三冊購入。これから読みますです。

・ジョン・ヴァン=マーネン著、森川渉訳『 フィールドワークの物語―エスノグラフィーの文章作法』(現代書館)
・佐藤郁哉『 フィールドワークの技法―問いを育てる、仮説をきたえる』(新曜社)
・佐藤郁哉『 フィールドワーク―書を持って街へ出よう』(新曜社)

2007年07月08日

制度と文化-組織を動かす見えない力

ひとりで佐藤郁哉祭りを絶賛開催中。おもしろいっす。

私には常々不思議に思っていたことがありました。

--- 疑問始まり ---
1.なぜ多くの会社の人が「うちの会社は特殊だ」「うちの業界は特殊だ」と言いたがるのだろう? (実はよその会社を見てきた人間の目から見ると、まったく特殊ではなかったり)

2.なぜ自分は常に業界の状況を見て、会社になんらか変革を提案し続けるのをやめられないんだろう?(「視野の広さ」とかを自慢しているわけじゃなくて、もっとプラグマティックに会社が生き残るために必要だと思ってやっているのですが、「なんでそこまで業界動向のチェックが必要なのか」という根っこのところがすごく答えにくかったのです)

3.なぜ自分はGoogle神話を信じきれないんだろう?(Googleがダメだというのではないですが、Googleに学んでも、あの成功の再現性はない、という確信を持っています)
--- 疑問終わり ---

佐藤郁哉・山田真茂留『制度と文化-組織を動かす見えない力』(日本経済新聞出版社)を読んで、これらの疑問が氷解しました。というか目からウロコがぽろぽろ落ちる発見が。

ざっくりいって、企業/組織をとりまく目に見えない文化や制度について、これまで考えられてきた理論の系譜を非常にわかりやすくまとめて解説したご本(まとめがある上に参考文献も豊富)です。主に制度・文化としての環境(マクロ)・組織(メゾ)・組織に属する個人(ミクロ)の3レベルの関係が議論されています。

以下、自分なりのまとめ(言葉足らずで本書のエキサイティングさを伝えきれていないと思いますが。すみません)。

・組織構造や組織戦略に関しては、「効率的で効果的な組織運営をおこなっていくための唯一絶対正しい最適解が存在し、その最適解を見つけた組織こそが生き残り、成長を遂げていく」というような考え方=「効率性モデル」が以前は主流でしたが、実は、中の人などいないように、最適解など存在しないのでした。流行があるだけ。米国で成功例がある手法やそのときに元気で先進的な企業がたまたま取り入れている手法がもてはやされたりします。でもそれは最適解ではなかったり。例えば、90年代にソニーが導入後、他企業も相次いで導入した「カンパニー制」などがこれに当たるのではないかと思われます。

・組織は真空の中に存在している自己完結的な系ではなく、組織を取り巻く社会的、文化的文脈から影響を受けており、約束事(社会的フィクション)によって構造や活動が決められるものなのでした。多くの会社の構造が似ているのはそのためです。たとえ効率的でない組織でも市場から淘汰されていませんし、効率的でないと思われるようなことでも、制度的に強制されて導入する企業も多くあります。

・以上のような考え方は「新制度派組織理論」によるものですが、「効率性モデル」に限界があるのと同様、「新制度派組織理論」に従うと、あまりも文化が何もかもを決定してしまうことになってしまって、今度は、個人の意志や組織の選択により、文化の圧力に逆らった形での変革がなぜ生まれるかの理由が説明できなくなってしまうので、現在は、以下のような「複合戦略モデル」が考えられているとのことです。

・制度・文化としての環境や業界パラダイムから組織は同化圧力を受けていますが、圧力にそのまんま屈しているわけではなく、選択的に同調していると。組織に属する個人も同様、組織から同化圧力を受けていますが、組織=自分ではなく、健全な状態であるならば、組織と自分との間にある程度距離を置いています。また、個人はひとつの価値観にとりこまれているわけではなく、自分の職能に応じた文化や、ジェンダー文化などさまざまな価値観を切り替え、使い分け、バランスをとって生きています。

・組織構造はダイナミックな関係性の中で成立しているのであり、スタティックなただひとつの正解として成立するのではない、というところが自分には大変勉強になりました。

2007年07月13日

ミーハーなのではてなスター。

はてなスターを貼ってみましたよ。ほめてほめてー

>日々ブログを読んでいていいなと思っても、コメントを書いたりトラックバックを送るのは
>敷居が高く、気持ちが十分に書き手に伝わらずに終わってしまうことも多いでしょう。
>はてなスターは既存のブログにワンクリックでがつけられます。あなたのいいなと
>思った気持ちをに変えて、世界のブログにをつけよう!

はてなスターはじめてガイド
http://s.hatena.ne.jp/guide

2007年07月14日

佐藤郁哉・フィールドワーク本3冊。

ひとり佐藤郁哉祭り最終日ということで。

結局、佐藤郁哉のフィールドワーク本としては、『フィールドワーク―書を持って街へ出よう 』(新曜社)、『フィールドワークの技法―問いを育てる、仮説をきたえる』(新曜社)、『組織と経営について知るための実践フィールドワーク入門』(有斐閣)の3冊を購入。

どれか1冊を選べと言われたら、『フィールドワークの技法―問いを育てる、仮説をきたえる』(新曜社)をおすすめします!理由は、他2冊の内容をこの1冊でカバーできるから。

フィールドワーク―書を持って街へ出よう 』(新曜社)はフィールドワークの基本を紹介したもので、『組織と経営について知るための実践フィールドワーク入門』(有斐閣)も、やはり入門書なのですが、こちらは、各章がケース/キーワード/ブックガイド/Q&Aというふうにコンパクトにまとめられていて読みやすいです。

どの本も参考文献が豊富で大変お役立ちでしたよ!QDAソフト本(『定性データ分析入門―QDAソフトウェア・マニュアル』)も買おうと思ったのですが、どうも池袋ジュンク堂で佐藤郁哉本をおいらより早く買っている人がいて、検索機では在庫があると出るのに書棚にはなかったりしました。しくり(先週、『組織と経営について知るための実践フィールドワーク入門』も同じ状態だったので、結局アマゾンで買いました)。

2007年07月15日

組織戦略の考え方-企業経営の健全性のために

沼上 幹『組織戦略の考え方-企業経営の健全性のために』(ちくま新書)読了。

日本型組織戦略についての入門。すばらしくわかりやすいです。また、自分の手を汚さず、外から論評するだけの野党的な考え方を徹底的に否定していて好もしいです。企業人は自分の企業のへぼさをわかっていないわけではなく、へぼさの中でも改革をなんとかやっていかなくてはならないのですから。

印象に残った部分のメモ:
・組織設計の基本は官僚制であり、それが創造性・戦略性を支える足腰。官僚制すらできていない組織は凡ミスを連発する(官僚制が老化しきちんと機能しないのが悪)
・『ザ・ゴール』のボトルネック論は意思決定プロセスにもあてはまるのではないか
・組織構造を変えることは問題を解決しない、問題を解決するのは常に人
・マズローの欲求階層説で忘れられがちなのは「自己実現欲求」の前に「承認・尊厳欲求」が満たされている必要があること
・公共財・集合財にフリーライドしてくる人に注意
・大きな組織の枠組みや基本ルールはトップでなければ変革できない。会社固有の強みを代表してきた組織の枠組みなどはミドルでは破壊することはできない
・組織に腐敗傾向をもたらすメカニズムとして、「ルールの複雑怪奇化」と「成熟事業部の暇な秀才」がある

自分が今まで勤めた会社で明確に誰が見ても腐っているとわかるのは1社だけだったのですが、本当にいましたよ、ルールだけにうるさい宦官みたいな人。


2007年07月19日

恩師逝去。

「イノベーション概論」「サービスサイエンス論」で授業をしてくださった亀岡秋男特任教授の訃報を本日聞きました(;_;)。大変ショックで茫然自失しています(いや、本当は、自失する間もなく仕事で不具合修正作業中なんですけれど)。うわわわわん!もっと先生のお話を伺いたかったです…。

関連記事:
http://www.chimimo.com/2007/04/post_39.html
http://www.chimimo.com/2007/04/post_40.html
http://www.chimimo.com/2007/04/post_41.html
http://www.chimimo.com/2007/06/post_51.html
http://www.chimimo.com/2007/06/kj.html
http://www.chimimo.com/2007/06/rq.html

2007年07月23日

修論のタイトルを考える。

修士論文の仮タイトルを考える宿題が出ているので(なんて懇切丁寧なんでしょう…)考えていた週末。ロクシタンのミントヴァーベナクーリングバス(3回分で3,150円。なんでこんなにぼったくり価格なんでしょう…)を買っていても『モーガン・スパーロックの30デイズ』を見ていても頭の中ではタイトルを考える。

自分はコミュニケーションギャップおよびそれを解消する仕組みについて考えていきたいのですが、もしかしてギャップを解消するだけではだめなんじゃないか、そもそも労働エートスの転換期問題なんじゃないのか、とか思い始めてぐるぐるぐるぐるです。いえ、会社で無邪気に怖いこと(「好きなことなら寝食を忘れて働けるはずだ」とか)を言う人が多いので。そういう考え方、簡単に鬱病製造装置になるからあぶないと思うのですけどね。

知識社会論。

今週も授業。知識社会学・知識人類学(エスノグラフィー)のお話。つまりは質的研究について。私は定量調査より定性調査の方が好きで性に合っていると思います(以前、某ベンチャでユーザビリティテストを企画・商品化・営業していました)。この授業は滋養のある大変良い授業だと思います。明日以降も楽しみですー。

Googleスカラーじゃないですが、「巨人の肩の上に立つ」ということが学問であるというところをJAISTではいろんな先生から繰り返し伝えられるのが感動的でございます。いや、若くて何にも経験したことがない時代に研究をしていたら、このことがなぜこんなに楽しくて、かつ自分の救いになるかなんて気づかなかっただろうなあ。

ひとりできりきりがんばって成果が出たら「褒めろ称えろ俺の業績だ」「俺の素晴らしいスキルマンセー」とか俺イズム全開でぐわっはっは愉快愉快と思ったりするのって30代までがせいぜいなんです。正直、年齢を重ねるとどんだけトンチキであってもそれなりに経験積んでいるので(頭の回転速度は鈍くなっているかもしれないけれど)、基本的に新米の若造よりできないはずはない。そんな勝つのが当然のデキレースで同じ土俵に立って「すごいぜ俺イケてるぜ」とかいきがっていても馬鹿みたいです。つまんないです。なんかもっと大きなものに貢献して次世代につなげたいです。ほんのちょっとの力でも。たとえ自分が巨人の肩の上の爪楊枝だとしても。雇用してもらっている会社にお給料分プラスアルファの貢献をするのは当然としてね。

いやこういう「ゆずりはマインド」こそ、老化現象のひとつなのかもしれないんですけどね。遺伝子にきっと書いてあるんだよ。「中年期になったらば、白髪増やすついでにゆずりはマインドスイッチON」。

2007年07月28日

売れないのは誰のせい?

山本 直人『売れないのは誰のせい?-最新マーケティング入門』(新潮選書)読了。

「売るための知恵」の集積としてのマーケティングを紹介したマーケティング入門書。最近のネットマーケティング系のご本は市場の変化や個別の戦術について煽りすぎだと私は思います。なので、バランスがとれ、かつ俯瞰した見方から書かれた上質の入門書としておすすめです。同じ日本人でも種類が増えており、阿吽の呼吸で通じるわけではないということ、マーケティングでなすべきことは他者を知ること、という主張に大変うなずけました。

2007年07月30日

MOT改革実践論。

正直に書きます。MOT改革実践論を担当してらっしゃる近藤先生のつくりものを私は全身で拒否しています。フォントも色も形も形の組み合わせもラベリングも概念分類も七五調の成功の宣言文もぱわぽのレイアウトも!むきーっ。

なんというか自分の美に対する価値観を全否定されている気がするのです。これを読んでいる方に信じてもらえるかどうかわからないのですが、自分は、Webディレクターとしてデザイナーが出してきたものにYESと言ったりNOと言ったりして十年以上いろんな会社でご飯が食べられているので、審美眼については一定レベル以上あると信じています。つまり、個人的な好き嫌いだけで何か言うんじゃなくて、美のクォリティを判断する目があるということを言いたいのですが、まあそれは眉唾だと思われても仕方ないです。何はともあれ、「むちゃくちゃ許せないんだなあ」と感じていただけると幸いです。いや、失礼なことを書いて申し訳ないのですが。

で、黒板をチョークでキーッと鳴らされた音を聞いているような苦痛をずっと感じながら授業を受けていたのですが、それでも近藤先生の言葉がときどき自分の問題意識にすこーんとはまる瞬間があるのでした。これは不思議。はまると心地よし。なんというかサウナのあとの冷水シャワーのような。ツボに的確に刺された鍼のような。

そういえば、うちの社長も元コンサルで言葉に力がある人なのですが、よく考えたら近藤先生と同じ会社の出身だったのを思い出しました。その会社、その手の教育を社員に授けているのでしょうか?あれだ、『百億の昼と千億の夜』でユダがイエスの言葉に受けたような感じはきっとこんなのだと思いましたよ。

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