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ひとりで佐藤郁哉祭りを絶賛開催中。おもしろいっす。

私には常々不思議に思っていたことがありました。

--- 疑問始まり ---
1.なぜ多くの会社の人が「うちの会社は特殊だ」「うちの業界は特殊だ」と言いたがるのだろう? (実はよその会社を見てきた人間の目から見ると、まったく特殊ではなかったり)

2.なぜ自分は常に業界の状況を見て、会社になんらか変革を提案し続けるのをやめられないんだろう?(「視野の広さ」とかを自慢しているわけじゃなくて、もっとプラグマティックに会社が生き残るために必要だと思ってやっているのですが、「なんでそこまで業界動向のチェックが必要なのか」という根っこのところがすごく答えにくかったのです)

3.なぜ自分はGoogle神話を信じきれないんだろう?(Googleがダメだというのではないですが、Googleに学んでも、あの成功の再現性はない、という確信を持っています)
--- 疑問終わり ---

佐藤郁哉・山田真茂留『制度と文化-組織を動かす見えない力』(日本経済新聞出版社)を読んで、これらの疑問が氷解しました。というか目からウロコがぽろぽろ落ちる発見が。

ざっくりいって、企業/組織をとりまく目に見えない文化や制度について、これまで考えられてきた理論の系譜を非常にわかりやすくまとめて解説したご本(まとめがある上に参考文献も豊富)です。主に制度・文化としての環境(マクロ)・組織(メゾ)・組織に属する個人(ミクロ)の3レベルの関係が議論されています。

以下、自分なりのまとめ(言葉足らずで本書のエキサイティングさを伝えきれていないと思いますが。すみません)。

・組織構造や組織戦略に関しては、「効率的で効果的な組織運営をおこなっていくための唯一絶対正しい最適解が存在し、その最適解を見つけた組織こそが生き残り、成長を遂げていく」というような考え方=「効率性モデル」が以前は主流でしたが、実は、中の人などいないように、最適解など存在しないのでした。流行があるだけ。米国で成功例がある手法やそのときに元気で先進的な企業がたまたま取り入れている手法がもてはやされたりします。でもそれは最適解ではなかったり。例えば、90年代にソニーが導入後、他企業も相次いで導入した「カンパニー制」などがこれに当たるのではないかと思われます。

・組織は真空の中に存在している自己完結的な系ではなく、組織を取り巻く社会的、文化的文脈から影響を受けており、約束事(社会的フィクション)によって構造や活動が決められるものなのでした。多くの会社の構造が似ているのはそのためです。たとえ効率的でない組織でも市場から淘汰されていませんし、効率的でないと思われるようなことでも、制度的に強制されて導入する企業も多くあります。

・以上のような考え方は「新制度派組織理論」によるものですが、「効率性モデル」に限界があるのと同様、「新制度派組織理論」に従うと、あまりも文化が何もかもを決定してしまうことになってしまって、今度は、個人の意志や組織の選択により、文化の圧力に逆らった形での変革がなぜ生まれるかの理由が説明できなくなってしまうので、現在は、以下のような「複合戦略モデル」が考えられているとのことです。

・制度・文化としての環境や業界パラダイムから組織は同化圧力を受けていますが、圧力にそのまんま屈しているわけではなく、選択的に同調していると。組織に属する個人も同様、組織から同化圧力を受けていますが、組織=自分ではなく、健全な状態であるならば、組織と自分との間にある程度距離を置いています。また、個人はひとつの価値観にとりこまれているわけではなく、自分の職能に応じた文化や、ジェンダー文化などさまざまな価値観を切り替え、使い分け、バランスをとって生きています。

・組織構造はダイナミックな関係性の中で成立しているのであり、スタティックなただひとつの正解として成立するのではない、というところが自分には大変勉強になりました。

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コメント (3)

ayu:

暇がありましたら、
フィリップ バティフリエ『コンヴァンシオン理論の射程』
には目を通してみると何か少しは得るものがあるかも知れません。
http://www.amazon.co.jp/dp/4812206448/
訳が悪くて嫌になるのですが、「慣行」のアイディアを頭の片隅におかせてくれるという点で価値はありますです。

あらゆる組織や個人は結局数学の公理系なので、なんらかの仮定にもとづいて動いています。かつゲーデルの不完全性定理があるので、あらゆる状況を説明できる(で言葉としてあっているかな)公理系は存在しません。

ちみも:

社会学なんで、「モデル→検証→もっと別のモデル→検証…」の繰り返しであり、すべてを過不足なく説明できる絶対正しいモデルはなくって、よりうまく説明できるモデルが探し続けられています。

それにしても明らかに事実と反するのに効率性モデルが信じられているのは驚きです(自分のことを棚に上げて書いてみる)。

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2007年07月08日 23:40に投稿されたエントリーのページです。

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