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2007年08月 アーカイブ

2007年08月02日

アンチ検索テクニック(というテクニック)。

芹沢文書さんのエントリー「知識よりも調査力を」を読んでいて(良いエントリーです)、実はそれよりもう一段階前が問題なんじゃないかと考えたので書いてみます。

検索が下手な人は、検索オプションを使いこなせないから下手なんじゃなくて、そもそも「検索クエリーを一回投げてあきらめる」のがだめなんじゃないんでしょうか。

(注…以前、検索の鉄人の関さんも講演で同じことをおっしゃっていたと思うので、オリジナルな意見ではないです。良い論文の探し方=「リファレンスを芋づる式にたどる」のと同じ原理です)

・自分がよく知らない分野のことを調べるには、最初に思いついた単語で検索しても一回で良い結果は出ません。これはそういうものだと割り切ることが必要です。

・なので、ここで悩まない。一度検索して出た結果のうち、サマリー読んで「よさそうなサイト」を訪問し、周辺の文を読む。1サイトでだめなら何サイトか同じことをやる。そうすると自分が最初検索した語より良い語か、あるいは関連語があぶりだされるはずです。その語で再度検索しなおす。これの繰り返しです。つまり、検索サイトでは「複数回検索しなおして検索語を自分で鍛えていく」ことが重要。

(注1…ネット歴が長く、精度の悪い検索サイトの利用歴の長い方にはあたりまえすぎるかも。でも、最近そういう検索をしたことがない方も多くいるようなので書いてみました)
(注2…分野によってはネットにドキュメントがなくてどうしても出ないこともあります。その場合は書籍・雑誌を探す方に切り替えたことが良いです。どこまで検索すればよいか限度を自分で決めた方が良いような)

関係ないですが、最近危惧しているのは、キーワード検索がポピュラーになってからみんなキーワード偏重主義になっていて、「キーワードでヒットしないとコンテンツは存在しない」みたいに思われていること。実はそうではないこともよくあります。以下、その例です(ミクシィ日記でも同じことを書いたので重複ごめんなさい)。

三浦展『大人のための東京散歩案内』(洋泉社新書)・坪内ミキ子『母の介護』(新潮新書)という2冊の新書があります。両書ともネットに載っているタイトル・サブタイトルに同潤会アパートという語は出てきませんが、これらの本には同潤会アパートに関する記述がたくさんあります。

著者のプロフィールを知っていて「この人がこのテーマの本を書くときにはこういう内容がきっと含まれるはず」というアタリをつける感覚が大事といいますか。その嗅覚こそ、メタ知識といいますか、調査力として重要なポイントなのではないかなあとかとか(いえ、それを身につけるのが難しいのですが)。そのへんのことをサポートできるからSNSいいんじゃないかなあとかとか思う最近です。

株式会社ハピネス計画

毎回作風が違うけれど主人公が常に神経質な人のような気がする、平山 瑞穂 『株式会社ハピネス計画』(小学館)読了。平山作品の繊細なおもしろさをどう伝えればいいのか悩みますが(心躍る冒険とか胸のすく結末などはないので、つまらないと感じる人もいると思います)、自分はハピネス計画社の商品名や飲み屋街のバーの名前などの細部が好きでたまりません。うまいのう。

関連エントリー:冥王星パーティ

2007年08月03日

本学に行ってきました。



雨にも負けず、台風にも負けず、石川のJAIST本学へ行ってきました。ゼミ参加のため、今後も月に1度くらい訪問する予定です。

2007年08月05日

ウソとあたりまえ。

調査をするにあたってまず心構えをつくろうと思い、三冊まとめて読みました。
新書ブームで良書がたくさん出ていて助かります。

・谷岡 一郎『「社会調査」のウソ-リサーチ・リテラシーのすすめ』(文春新書)
・谷岡 一郎『データはウソをつく-科学的な社会調査の方法』(ちくまプリマー新書)
・好井 裕明『「あたりまえ」を疑う社会学-質的調査のセンス』(光文社新書)

社会学でいうところの「事実」は変数が非常に多い蓋然性の世界であり(=白黒はっきりしない世界)、また人により実際に生きられている「現実」でもあるため、量的調査をやるにしても質的調査をやるにしても、単純化・過剰な一般化に陥らないよう注意が必要で、繊細さと慎重さを要求されます。

私は常に周囲を見回して気を張っていないと普通からすべりおちてしまうと感じながらずっと生きてきたので(処世術として、最近、世間一般のいわゆる「普通」への違和感を過剰に表現しなくなっただけ)、普通やあたりまえを疑うという態度は身についていると思うのですが、だからといってそういう自分が他者をカテゴリー化して決めつけの目で見ていないかというと、決してそうではないなあとか。

2007年08月08日

ウィキノミクスを読むのがつらい件について。

ドン・タプスコット/アンソニー・D・ウィリアムズ (著), 井口 耕二 (訳)『ウィキノミクス マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へ』(日経BP社)。

マスコラボの事例を読みたくて購入したのですが、煽り文句(「ウィキノミクス or die」みたいな文言)が何度も何度もしつこく書かれていて、読んでいてうんざりしたので2章くらいで止まっています。群集の叡智をどうマネジメントしていくかについて知りたいのですけれどね。繰り返しを省いてコンパクトに書いてほしーい。後半の方になると大丈夫なのでしょうか。

2007年08月11日

第20回東京湾大華火祭。


非常に高い倍率をものともせず、中央区民の力を借りて整理券をゲットした友人(す、すごいやる気だ…)に誘われ、花火を見てきました。

それはとても美しゅうございました。美しすぎるものを表現する力が自分には足りないよ。人ごみは嫌いなので、東京の花火大会は何年も避けていたのでしたが、来年も見たいなあと。

2007年08月12日

池袋ジュンク堂で質的研究法フェア開催中。

ジュンク堂書店の池袋本店4階で入門書を中心に質的研究法フェア開催中とのこと。

自分はとりいそぎ、ウヴェ・フリック著 小田博志+山本則子+春日常+宮地尚子訳『質的研究入門―「人間の科学」のための方法論 』(春秋社)と秋田喜代美・能智正博(監修) 能智正博・川野健治 (編) 『はじめての質的研究法 臨床・社会編―事例から学ぶ』(東京図書)を買っておきました。

ジュンク堂書店 JUNKUDO BOOK WEB:
質的研究法フェア 4Fミニフェア棚 ~8月下旬まで
http://www.junkudo.co.jp/newevent/event-ikebukuro.html

2007年08月13日

カール・マンハイム―時代を診断する亡命者―

知識社会学ってすごく難しいです。何が難しさの根源かというと、動き続ける的をこちらも動きながら射撃する必要があり、照準器は普通に暮らしているだけだと目に見えないからゼロインするのも困難で、しかも射撃に使うライフル銃について「なぜそれを使うのか?」「そんなの使っていていいのか?」と常に問われ続けるところです(…成功しているのだろうか、この比喩)。一体何を信じればいいのー。動かない点はどこー。

というわけで入門書から読むことに。というか入門書ばかり読んでいますね、最近。ええ。基礎がないので猛スピードでつくろうとしていますよ。はい。

澤井 敦『カール・マンハイム―時代を診断する亡命者―』(東信堂)。東西の社会学者50人を紹介する「シリーズ世界の社会学・日本の社会学」(全50巻)のうちの1冊です。マンハイムの伝記、マンハイム社会学の全体像、そしてその思想の受容と解釈の歴史についてコンパクトにまとめられています。


2007年08月17日

山田耕筰 長唄交響曲 「鶴亀」他。

月額1,890円で膨大な音源を好きなだけ聴き倒せるナクソス・ミュージック・ライブラリーに会員登録しているので、「オンラインで聴けばいいやー」とめっきりナクソスのCDを買うことがなくなっていたのでした。

日本作曲家選輯シリーズの山田耕筰2枚目(1枚目は持っています)がとっくに出ていたのも気づかず。最近ナクソス・ミュージック・ライブラリーにアップされていたのでようやっと聴いてみたのですが、これイイ!っす。今さらですが、CDを購入しなかったことを深く反省し、CDショップに駆け込もうと思いました。片山杜秀氏の解説も読まなくっちゃですし。

長唄交響曲「鶴亀」についてはすでにいろんな方が誉めているので敢えて書かないですが(長唄の素人の耳にも長唄自体のクォリティがすごく高いことがわかります)、私は交響曲「明治頌歌」の篳篥(ひちりき)に感動しました。すごい楽器だなあ、篳篥。音高の揺れがとても怖いと同時に魅惑的です。

http://www.naxos.co.jp/8.557971J.html

2007年08月21日

エスノメソドロジーに悩むの巻<その1>。

先月の知識社会論の授業のトピックで「状況認知論」「状況に埋め込まれた(situated)知」というものを教えていただいたのですが、自分には本当の意味がわかっていない感じがして気持ちが悪かったので、先日からエスノメソドロジー(ethnomethodology)関連のご本を読んでいました。

・前田 泰樹 (編)、水川 喜文 (編)、岡田 光弘 『ワードマップ エスノメソドロジー──人びとの実践から学ぶ』(新曜社)
-> 立ち読み/サポートページ:http://socio-logic.jp/ethnomethodology.php
-> 紹介ページ:http://emca.jp/books_2007wordmap.php

丁寧に解説をされているご本です。しかし、「第1章 エスノメソドロジーのアイデア」を読み終えるまでがとてもキツかったです。いえ、説明がわかりにくいとかこの本が良くないという意味ではまったくありません(真逆です。リファレンスも豊富ですし、「よくある質問と答え」もありますし、何度も読もうと思っています)。世界観自体が自分の持っているものとまったく違うからです。たとえて言うならば、ステレオグラムをはじめて見ようとするときの困難さを感じました。そして読了しても「状況に埋め込まれた」がまだ十分にとらえきれなかった私。お願いだから埋め込むっていうなー!「埋」という漢字には「土の中」という意味が入ってるんだよ!(表語文字野郎の逆ギレ)

ここでmixiで愚痴ってみたのです。困ったときのmixi愚痴ソリューション(こら)。そうしたら上記のご本の編集者の方が見ていただいてですね、「こういう本も読んだらいいよ」という親切なアドバイスをいただきました。ありがとうございます。というわけで、下記の本を読みました。

・上野 直樹、西阪 仰 『インタラクション―人工知能と心』(大修館書店)

西阪先生の説明がものすごくお上手です。ボリュームもさっと読めるくらいでちょうどいい感じ。雲をつかむようだったのが、イメージが湧いてきました。ちなみに今、自分にわかる言葉でものすごくざっくりとsituatedを表現するならば、傷口にしてナイフ、です。すみません。文学少女のなれの果てなもので。

※他のご本についても教えていただいたのでsituatedの旅はまだ続くのでした。以下次号。


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