世間的な評価や風潮を見直すことを提案する本を2冊読みました。
上田紀行『かけがえのない人間』(講談社現代新書) 。人間を交換可能な消耗品、使い捨て可能とみなす考え方、およびそこから生まれる息苦しい社会へのプロテスト。高みからの説教ではなく、情けない、ネガティブなご自分の体験をも含めて書かれているところに感動します。読みながら「社会人生活の中で自分はいつのまにか他人からの評価を最終目的としてしまっているのではないか」と自らを振り返ってみたり。関係ないですが、著者の上田氏は「癒し」という言葉の言いだしっぺであり、春風亭小朝の従兄弟だとのこと。へー。
坂本光司 『日本でいちばん大切にしたい会社』(あさ出版)。著者は法政大学大学院の教授で、6000社以上の中小企業を訪問調査している方。
「株主重視、短期間に業績を上げるためには社員の使い捨て(リストラ)も辞さない」というのが昨今の風潮。企業間競争の激化で社員に優しくできるほど企業に余裕がなくなっているとよく言われますが、この本では、社員や地域を大切にしながら長期的に業績を上げ続けている優良中小企業が紹介されています。障害者の方々を50年採用し続けて成功している会社、斜陽産業の中でも48年間増収増益を続けた会社、日本でもっとも辺鄙なところにありながら世界中からお客様が訪ねてくる会社など。社員を大切にすることと業績を上げることは両立可能であり(というか、高業績を長期間上げ続けるために社員を大切にすることは必須)、やりようによっては衰退産業やシャッター商店街の中でも成功できるという実例を示していて、大変心強いと感じました。