Cold Steel: The Multi-billion-dollar Battle for a Global Industry

ごぶさたしています。インドでもご本は読んでいるのですが、英語ということで、日本語の本のようには早く読めません。なのでゆっくりゆっくり読んでいますよ。そんな中で、おもしろすぎてページをめくる手が止まらなくなった本(ノン・フィクション)をご紹介。 

Tim Bouquet/ Byron Ousey著の『 Cold Steel: The Multi-billion-dollar Battle for a Global Industry』(2008)。 

世界最大の鉄鋼メーカーであるミッタル・スチールによるアルセロール(世界第二位)の敵対的買収の話。著者はジャーナリストと実際にこの買収騒動の中でルクセンブルク政府のコンサルをしていた企業の方の二人組です。 

ミッタル・スチールはオランダに本社を置き、経営は英国から行っている企業ですが、設立者/CEOはラクシュミー・ミッタルというインド人(彼の子供たちも経営にかかわっているファミリー企業)。一方、アルセロールは、ルクセンブルク(=鉄鋼が長らく経済を支えてきたために鉄鋼業に関係する人がそこらじゅうにうじゃうじゃいる国)に本社を持ち、経営陣はフランスにいるという企業です。 なので、買収といっても単なる企業間だけの話では済まなくて、銀行や弁護士、PR会社をはじめ、政府(ルクセンブルク・フランス・イギリス・インドなど)や個人投資家(イタリア・フランスなど)、敵対的買収から企業を救うホワイトナイト(ロシア・中国・韓国・ブラジルの製鉄会社など。日本の新日鉄も一時期候補に上がっていたそうです)など、登場する人々も多彩かつグローバルで、それぞれの思惑が絡み合い、状況が二転三転します。下手なサスペンス小説よりスリリングです。 

興味深かったのは、アルセロールのミッタルへの嫌悪感は単なる「敵対的」買収という点からだけ生じていたのではなく(ちなみに「事前の根回しなしにそんなことをするなんて、うちらはアングロ・サクソンと違うんやから!」と当初、ヨーロッパでミッタルはものすごく嫌われます<-日本での場合と同じですね)、人種差別的視点があったということ(当時のアルセロールCEOのガイ・ドイルの諸発言やアルセロール経営陣が「インド人に買収されるくらいなら…」と最後にはむりやり無茶な選択肢をひねり出すところなど)。また、ミッタル・スティールのファミリー経営的な部分(=経営者一族の議決権が一般株主よりも大きかったところなど)も買収への過程で必要に迫られて変わっていったところもまたおもしろかったのでした。 

ハードカバーで約350ページとやや大部な本ですが、英語もそれほど難しくないので読みやすいと思います。

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