ヒトは食べられて進化した

日本に一時帰国した際に購入した、 ドナ・ハート / ロバート W.サスマン(著)、伊藤伸子 (訳)『ヒトは食べられて進化した』(化学同人) 読了。 

初期ヒト科は一般に考えられているような狩猟する側(Man the Hunter)ではなく、どちらかといえば肉食動物に狩られる側(Man the Hunted)だった、捕食(=他の動物から食べられること)の影響により人類は進化した、ということを化石や現存の霊長類の調査という2つの方向より明らかにしていくといった内容。人類、いろんな動物に食べられてきています。ライオン・トラ・クマ、あるいは絶滅した大型ネコ科動物の剣歯ネコからハイエナ・ジャッカル・ヘビ・ワニ・カンムリクマタカやオオトカゲにいたるまで。陸地だけではなく、水辺や空からの攻撃もあり、油断も隙もあったもんじゃありません。 

他の種に関してはすでに捕食の影響があるのは当然とされているし、よく調べると人類が食べられていたという証拠が多く残っているのに、人類の捕食についてなぜこれまで真剣に考えてこられなかったのか?私たちのものの見方は固定観念やキリスト教的「原罪」概念や19世紀の「文化的残存」概念(必須機能としての本来の役割を果たさなくなったにもかかわらず、今でも残り続けるような概念。例:現代人がスポーツ好きなのは遠い先祖が好んで狩りをしてきた記憶にもとづく、など)に縛られているからなのでした。 

人間をおいしく食べる動物(インドには今でもトラやらヘビなどが結構いるので危険です。国立公園のそばには近寄らないようにしよう…)について読んでいるだけでもぞっとしますが、証拠と証拠の隙間を埋めるモデルを考える際に、その思考がどれだけ時代精神なり偏見なりドグマなりにゆがめられるのかというところを想像してぞっとしました。一般向けの本ということで語り口が柔らかく(柔らかすぎるくらい)読みやすいです。 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です